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武器術クラスを終えて

12月31日 午後10時24分
最初の人間が、大脳新皮質、特に前頭葉を発達させて、シンボルや言葉を使うことができるようになった。

同日    午後10時54分
石器つまり道具を使うことが普及。

 

「宇宙カレンダー」という、宇宙の歴史であるおよそ137億年を一年に短縮してわかりやすくした概念・仮想暦です。1月1日が「ビッグバン」で、太陽系・地球の創発が8月31日(46億年前)になります。

道具を使えるようになったのが12月31日の午後10時54分ごろ。第一の技術革命です。

脳が発達したから道具を使えるようになったのか、道具を使うようになったから脳が発達したのか。
火と道具の使用によって人類は「パンドラの箱」を開けたともいえるでしょう。

人にとって欠かすことのできない道具。武器という道具の使い方の技術体系である武術。
その学びは大変有意義であると思います。

 

 

今回の主眼として、
武器を扱うことにより、太極拳や形意拳、八卦掌で培った勁力、技術の体現、体感。
動作に精密さを追求する。
より体幹を強化する。
武器を持つことで重心変化があり、よりバランス感覚を磨く。
間合い、緊張感を実感する。
その緊張感の中で脱力を試みる。

太極拳 ぶきIMG_3825

〇武器術 二十四拐 先行実験クラス

基本、型 橋本講師
応用、打ち込み 瀧谷師範

 

〇基本ワーク

・棒を持つことによる重心変化を感じる
・棒を身体の一部にする
・先端、末端から動く
・グラウンド・ワーク

〇打ち

・9種 素振り
・左右正面打ち(型)から、実際に打ち込み

〇型
・二十四拐 正面受けからの右側面打ち

 

参加者(女性)からはやはり「打ち込み」がやりがいがあるとのこと。瀧谷師範の指導で腕力に頼らない重い打ちができるようになったが、やはり日ごろの練習の成果だという。

太極拳 ぶきIMG_3826

今回は短棒なので片手操作である。何も持っていない方の手がカウンターパートであるという意識を持ってもらえればもっと精度が上がると思われる。また、型については時間の関係であまりできなかった。しかし、見栄えがするという点ではそれなりに興味を持ってもらえたと思う。

 

グラウンドワークでは地面を寝転がるような動きをしてもらったが、その際に軽いめまいを生じた参加者がいた。
「三半規管」とバランス感覚の関係性は言うまでもないが、現代人の三半規管の低下を鑑みると技術の向上や健康増進において意外に注目すべき点ではないかと思う。

 

太極拳 ぶきIMG_3827

いちばん驚いたのはやはり打ち込みで女性の参加者が棒をへし折ってしまったことだろう。
ちょっと柔らかい感じの棒だったとはいえ、一撃でパカッと折れてしまった。
もうひとりの女性の参加者も竹の棒にヒビをいれている。

 

武器術クラスの開講、制定を急ぎます。

棒の長さについて

技の精密度を高めたり、軸や身体能力の向上を目指す武器術の講座やクラス(型)、棒推手など考案中につき、クラスの合間にちょっとずつ教えていたら、会員さんの間で武器術の人気が高まってきています。

 

そこで「どういう長さがいいのか?」
・・・という質問があり、意外とどうしたものかと思案中です。

 

個人的には鍛錬も兼ねて長い方がイイ!ですが、
いきなりそこまで言えません。(振れる場所も限られてますし)

 

棒術、棍術といっても「棒」の長さや太さは流儀・流派により千差万別で、統一されていません。

「棒術」と一口で言っても、
A:本当にただの棒の使い方の流派
B:薙刀や槍が折れた想定の棒術、又は刃を付けると槍や薙刀になるような棒で
代用して稽古してるが、実は薙刀や槍を教えている流派(刃がないのに刃筋を重視)
C:柔術の体作りの流派(棒対棒で同じような動作をしている流派はこれ)

このように、目的によっていろいろです。

中国武術の場合は武器は「手の延長」なのでそういう意味では何でもアリなのですが、
いちおう棒(棍)が武器術の始めということで、武器術の基本という位置づけがなされています。

 

とりあえず江戸時代には捕り手の得物として「6尺」が凡その基準となったといわれています。
※明治から戦前にかけて当時の日本人の平均身長に合わせて決められたという説もあり。

ただ、古流においては棒の長さを太刀合(たちあい)、馬上、槍合(やりあい)等々、敵に対峙した時の間合により、
六尺、六尺五寸、七尺と使い分けて習練する技術体系もあり、本来的にはそれが望ましいでしょう。

また、両手で扱うことが肝要なので、そういう意味ではそれなりの長さがある方が良いでしょう。

 

使用する棒の長さはだいたい、
『間棒(けんぼう)or六尺棒』
6尺・約180cm前後、直径は八分(約2.4cm)~一寸一分(約3.3cm)のもの。

『杖(じょう)』 4尺・120cm前後のもの。

『半棒』 3尺・90㎝前後のもの。
『カリスティック』 約2尺・60㎝前後のもの ※フィリピン武術
『八寸拉ぎ』 24㎝前後。

 

また、別の言い方では、

棒術では「身長+15㎝」
錫杖では「身長+8~9㎝」
杖の定寸は「4尺2寸1分(127.6㎝)」
径は8分(約24ミリ)から9分(約27.3ミリ)

 

武道具店で買うもよし、ホームセンターで買うもよし。
後者だと材木からも選べますし、農機具(鍬の柄など)からもチョイスできます。

 

武道具としての材は白樫がほとんどですが、本当の赤樫は少ないようですね。
アデク、ハマシタン(浜紫檀)、クバ、籐などの稀少材もあります。

 

ちなみにですが、神社の授与品としての棒、棍は残念ながら無いようです。

木刀ならあるんですけどね。

武器は「人類のパイオニア」 

人間はチンパンジーとの共通祖先から分かれ、500万~700万年は独自の進化の道を歩む。

260万年前、「道具」の使用が発見される。石を手に持って木の実を割るのに、およそ300万年かかった。
石を打ち欠いて、そのかけらの鋭利な部分で動物の死体から肉をはがしたりする包丁やナイフ的な使用目的。

 

50万年前、道具が狩猟に使われるようになる。
「石器」それ自体を「長い棒の先に着ける」という発想が生まれる。「槍」の原型である。

太極拳 せっき旧石器発展過程

この発想にたどり着くまで、長い長い時間が掛かっている。獲物の牙や爪の間合いの外から一方的に刺突を繰り出せる武器を生み出した。同時に「射程距離」の概念が生まれる。
(※この時点でも、大型獣を槍一本で仕留めるのは困難)

人類はこれまで様々な武器や兵器を開発してきたが、「安全なところから一方的に攻撃する」これが得物を持つこと、ひいては「投擲武器」の基本中の基本となる。

20万年前、大規模で計画的な狩猟が始まる。

4万年前、画期的ともいえる「投槍器(アトラトル)」が発明。
テコの原理を応用した簡単な「投槍の補助器」であるが、人類が到達したひとつのターニングポイント。これにより大型獣を安全に仕留められるようになり、大量の肉を入手することが可能になった。

太極拳 アトラトル5aadd170別名 マンモスキラー

※弓矢やスリング(投石器)は省略しています。
いわゆる「武器」の登場は、狩猟のため、特に鳥獣を圧倒するための兵器としてであり、とりわけ普及したのは弓矢。(ただし弓は訓練期間が必要)

あくまで戦争形態の発達いかんのはじまりは、基本、鳥獣の圧倒にある。
実質「槍」の類は本来的には魚、あるいは小中動物用で、実質的に武器ではない。斧とかの類も同じ。兵器的性質が強いもの、武器としてつかわれたのは弓。後に純粋に武器として誕生したのが「剣」。

武器を使えるというのは、これほどまで絶対的なアドバンテージを得ることができる。

 

服を着ただけで無防備の人間が、標準体型のグリズリー(ハイイログマ:雄の平均体重260㎏)を、一対一の近接格闘で倒す事が出来る最低限度の武器は、「幸運」と言う条件付きで、6発以上撃てる.357マグナムリボルバーである。大型拳銃ですら最後の護身用レベル。

太極拳 まぐなむ51XxdZy+CxL__SX355_画像はモデルガン用

 

 

 

 

・・・というわけで、永らく人類とともにあった「武器」を使って鍛錬しましょうという試みがなされております。
当会にもいくつか武器術の型がありますし、師範もいろいろ研究されています。

太極拳 ぶきIMG_3641

難しいことはまったくありません。

クルマでも自転車でも、地面の小さい小石を踏んだ時のコツンという感触をハンドル越しに感じたことがあるでしょう? それが分かれば出来ます。

運転は当たり前にできるけど、武器術となると変な意識と緊張が邪魔をしてしまう。
武器だから、怖いから、解らないから・・・そういった自我や思い込みの部分がかなり足を引っ張って阻害してくるのが特徴ですね。

 

太極拳 ぼう

道具に触れ合う、武器とともに行う鍛錬や推手ということで、カリキュラムなどを考案しています。武器はあくまでも自分の延長であり、気を通すなんて言い方もしますね。道具としてそういう使い方をします。

また、重いものを扱うためには筋力に頼ってはいけない点も見逃せないですね。
全身を使って行う必要があるので、動きの精密さを増す意味でも良いと思います。

 

太極拳 ぼう2

・武器の種類(棒であるか剣であるか等)
・状況判断(射程距離、適正重量、運搬能力、携帯性、見た目等々)
・可能性の探索(効率の良い動き、相手の隙や弱点、狙うべきポイント等々)
・対応(適切な威力)

etcetc・・・。

人類の進化と発展の歴史を考えると『武器を使うなんて野蛮!』なんて言う人が逆に野蛮なくらいなもので(笑)。

あなたの遠い遠い遠いご先祖さまが、たまたま手に取った棒や大腿骨を振り上げて下ろしたら、外敵の鼻先に当たり、逃げていった。結果、外敵から身を守れた。そのお陰で、今のあなたが存在しているのかもしれません。

 

そして、戦争行為は「政治的手段」の一形態であり、それに基づいて考えると

戦略>戦争>作戦>戦術>戦闘であり、最小規模であるノウハウとしての武器術は「戦闘」に当たります。

 

まさに武器術は「学び」ですね。たいへん有益だと思います。
圧倒的に強くなるとかそういうことはありませんが、精神の修養には向いていると思います。

 

 

「お年寄りの健康体操」脱却計画の一環・・・みたいなものです。

 

 

余談。

 

太極拳 うるみ08ed2aaa-sウルミ(インド)

カラリパヤットで使用される柔らかい鉄で作られた長剣。肉を切り裂くのに十分な鋭さを持っているが、タイトコイルのように巻きつくのに十分な柔らかさはない。南インドで発祥。インドでは叙事詩にも登場する。

長い訓練期間が必要な上に厚い装甲には歯が立たない。もちろん練習不足だと自分が重傷を負う武器。