転倒予防の基礎動作 3

立つ、起きるという動作は日常動作で実践していると思いがちです。
畳での暮らしから、椅子、ベッドありき、階段からエレベーター&エスカレーターありきの生活で、
動きの量や質は大きく変化しています。

使わなくなってしまった筋肉もとうぜん増加しているでしょう。

太極拳 段差

 

転倒が「備え」の無い身体、脆弱化した身体に及ぼす影響は大変大きいです。
高齢者の場合は骨折が命取りで、寝たきりになるケースも珍しくありません。

重要な課題ということは言うまでもなく、「日本転倒予防学会」なるものも存在するくらいです。
高齢者に「安全で効果的で楽しい」転倒予防の内容と方法の確立と普及・啓発につとめている団体・・・ということですが、まぁ、我々も転倒予防においてはそれなりに(笑)。

 

 

さて、転倒予防はお年寄りのもの。
・・・という具合に考えていませんか。

「転ばない事」だけに留まりません。
転倒予防のための体作りは、現状の身体の見直しでもあります。
修正し、補強し、さらに洗練していく。

前回も少し書きましたが、太極拳(多くの武術)は転ばないことが重要なのです。
本気で転ばない為の身体を作り上げていきます。

太極拳(武術)においては「転倒すなわち死」ほどのものです。
対武器、対多数、地形etc・・・転倒は圧倒的不利な状況に陥ってしまい、挽回が困難になります。
逃げ出すことさえできません。

もちろん転倒時の備えもありますが、何よりは転ばないことが一番なのです。
そして、簡単には相手にも投げさせないようにします。
そういう意味で、一緒に倒れてしまう「巴投げ」「ジャーマンスープレックス」のような捨て身技はありませんし、背後ががら空きになるマウント、腕ひしぎのような寝技を取るようなこともありません。
(もちろん、どんな技でも知っておくに越したことはありません)

 

地形に足を取られない足運び、ぐらつきにくい姿勢、足腰作り、衝撃に強い呼吸法なども合わせて行います。

太極拳の練習がすなわち転倒予防にもなります。

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また、身体操作・武術的要素として周辺視野があります。これはさすがにリハビリ系ではやっていないと思います。
視覚が姿勢の制御にもたらす影響は決して小さくありません。

 

さて、前回に引き続き、山梨大学 教育学部長の中村和彦教授によると

子どもの遊びやスポーツで鍛えた36の動作

〇バランス系

立つ、起きる、回る、組む、渡る、伸ばす、逆さまになる、乗る
あおむけ・うつぶせになる

〇移動系

歩く、走る、跳ねる、滑る、跳ぶ、登る、はう、くぐる、泳ぐ真似をする

〇操作系

持つ、支える、運ぶ、押す、押さえる、こぐ、つかむ

当てる、捕る、渡す、積む、すくう、振る・振り回す

投げる、打つ・たたく、蹴る、引く、倒す

 

 

これらはほぼすべてが太極拳の動作に含まれていますね。
(さすがに仰向け、逆さまになるなどはごくたまにやる基礎練習くらいでしょうか)

 

太極拳の中でも難度の高いのは倒攆猴(トウレンコウ)ですね。

片足で立ちながら後ろに下がりつつ攻防するというものですが、受けと同時に反撃でもあり、下がりながらも攻めの勢いを失わない。心身ともにぶれることなく保てる身体を練り上げます。