武器は「人類のパイオニア」 

人間はチンパンジーとの共通祖先から分かれ、500万~700万年は独自の進化の道を歩む。

260万年前、「道具」の使用が発見される。石を手に持って木の実を割るのに、およそ300万年かかった。
石を打ち欠いて、そのかけらの鋭利な部分で動物の死体から肉をはがしたりする包丁やナイフ的な使用目的。

 

50万年前、道具が狩猟に使われるようになる。
「石器」それ自体を「長い棒の先に着ける」という発想が生まれる。「槍」の原型である。

太極拳 せっき旧石器発展過程

この発想にたどり着くまで、長い長い時間が掛かっている。獲物の牙や爪の間合いの外から一方的に刺突を繰り出せる武器を生み出した。同時に「射程距離」の概念が生まれる。
(※この時点でも、大型獣を槍一本で仕留めるのは困難)

人類はこれまで様々な武器や兵器を開発してきたが、「安全なところから一方的に攻撃する」これが得物を持つこと、ひいては「投擲武器」の基本中の基本となる。

20万年前、大規模で計画的な狩猟が始まる。

4万年前、画期的ともいえる「投槍器(アトラトル)」が発明。
テコの原理を応用した簡単な「投槍の補助器」であるが、人類が到達したひとつのターニングポイント。これにより大型獣を安全に仕留められるようになり、大量の肉を入手することが可能になった。

太極拳 アトラトル5aadd170別名 マンモスキラー

※弓矢やスリング(投石器)は省略しています。
いわゆる「武器」の登場は、狩猟のため、特に鳥獣を圧倒するための兵器としてであり、とりわけ普及したのは弓矢。(ただし弓は訓練期間が必要)

あくまで戦争形態の発達いかんのはじまりは、基本、鳥獣の圧倒にある。
実質「槍」の類は本来的には魚、あるいは小中動物用で、実質的に武器ではない。斧とかの類も同じ。兵器的性質が強いもの、武器としてつかわれたのは弓。後に純粋に武器として誕生したのが「剣」。

武器を使えるというのは、これほどまで絶対的なアドバンテージを得ることができる。

 

服を着ただけで無防備の人間が、標準体型のグリズリー(ハイイログマ:雄の平均体重260㎏)を、一対一の近接格闘で倒す事が出来る最低限度の武器は、「幸運」と言う条件付きで、6発以上撃てる.357マグナムリボルバーである。大型拳銃ですら最後の護身用レベル。

太極拳 まぐなむ51XxdZy+CxL__SX355_画像はモデルガン用

 

 

 

 

・・・というわけで、永らく人類とともにあった「武器」を使って鍛錬しましょうという試みがなされております。
当会にもいくつか武器術の型がありますし、師範もいろいろ研究されています。

太極拳 ぶきIMG_3641

難しいことはまったくありません。

クルマでも自転車でも、地面の小さい小石を踏んだ時のコツンという感触をハンドル越しに感じたことがあるでしょう? それが分かれば出来ます。

運転は当たり前にできるけど、武器術となると変な意識と緊張が邪魔をしてしまう。
武器だから、怖いから、解らないから・・・そういった自我や思い込みの部分がかなり足を引っ張って阻害してくるのが特徴ですね。

 

太極拳 ぼう

道具に触れ合う、武器とともに行う鍛錬や推手ということで、カリキュラムなどを考案しています。武器はあくまでも自分の延長であり、気を通すなんて言い方もしますね。道具としてそういう使い方をします。

また、重いものを扱うためには筋力に頼ってはいけない点も見逃せないですね。
全身を使って行う必要があるので、動きの精密さを増す意味でも良いと思います。

 

太極拳 ぼう2

・武器の種類(棒であるか剣であるか等)
・状況判断(射程距離、適正重量、運搬能力、携帯性、見た目等々)
・可能性の探索(効率の良い動き、相手の隙や弱点、狙うべきポイント等々)
・対応(適切な威力)

etcetc・・・。

人類の進化と発展の歴史を考えると『武器を使うなんて野蛮!』なんて言う人が逆に野蛮なくらいなもので(笑)。

あなたの遠い遠い遠いご先祖さまが、たまたま手に取った棒や大腿骨を振り上げて下ろしたら、外敵の鼻先に当たり、逃げていった。結果、外敵から身を守れた。そのお陰で、今のあなたが存在しているのかもしれません。

 

そして、戦争行為は「政治的手段」の一形態であり、それに基づいて考えると

戦略>戦争>作戦>戦術>戦闘であり、最小規模であるノウハウとしての武器術は「戦闘」に当たります。

 

まさに武器術は「学び」ですね。たいへん有益だと思います。
圧倒的に強くなるとかそういうことはありませんが、精神の修養には向いていると思います。

 

 

「お年寄りの健康体操」脱却計画の一環・・・みたいなものです。

 

 

余談。

 

太極拳 うるみ08ed2aaa-sウルミ(インド)

カラリパヤットで使用される柔らかい鉄で作られた長剣。肉を切り裂くのに十分な鋭さを持っているが、タイトコイルのように巻きつくのに十分な柔らかさはない。南インドで発祥。インドでは叙事詩にも登場する。

長い訓練期間が必要な上に厚い装甲には歯が立たない。もちろん練習不足だと自分が重傷を負う武器。