女子レスリング吉田沙保里選手が銀メダル

リオ五輪。残念ながら女子レスリング吉田選手は銀メダルでした。「盛者必衰の理」のとおり、若手の台頭を阻むことはできませんでした。ただ、世界は吉田沙保里を倒すのに16年かかったわけです。

太極拳 レスリング900

周囲の徹底的な研究、本人の加齢、ご家族の不幸、移籍問題などもあるでしょうが、今回は吉田選手にいい印象がありませんでした。ひょっとしたら負けるかもしれないフラグが立っているんじゃないかという予感。
「対策の対策がただの力押し」という批判もありました。
また、なんとなく「驕り」めいた雰囲気もありましたがそれは逆に不安や懸念の裏返しだったかもしれません。

今はだれも知らないけれど、ここからが伝説の始まりかもしれません。
東京五輪まで現役続行するのならば。

ちなみに、日本では女子レスリング部がある高校は25校で、数百人しかやってない上に階級が6階級。
海外でも軽量級に相当する人たちは大柄の選手に押されてしまうのでそもそも参加することも稀。
かなり人口的には少ないんですね。

それでも別格だと思います。

レスリングは、
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原型となるレスリングの正確な起源は不明だが、紀元前3000年には既に競技として成立しており[1]、文武両道を旨とする古代ギリシャの名門家では体育としても奨励され、紀元前427年生まれの哲学者プラトンも若い頃は大会での優勝経験がある[1][2]など、この頃には既に確立されたメジャーなスポーツであった

Wikiより抜粋

総合格闘技の世界ではブラジリアン柔術とセットで必ず習得しないといけない技術の一つと見なされている観が強いです。アメリカだとレスリングスキルにボクシングプラスして、それだけで総合のそこそこのレベルで勝ててしまう選手もいます。

レスリングにはもうひとつ「グレコローマンスタイル」というのがありまして、「ギリシャ・ローマ風」のことです。古代ギリシャ、ローマに由来すると言われていますが実際は19世紀のフランス・ナポレオン軍に起源があります。

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グレコローマンといえば「カレリン(アレクサンドル・アレクサンドロヴィチ・カレリン)」
・レスリング最重量級にて13年間無敗
・オリンピック3連覇
・世界選手権9連覇
・国際大会76連勝
・公式試合300連勝
・有名な技に「カレリンズ・リフト」がある

かつてカレリン氏はロンドン市内の五輪会場で時事通信の取材に応じ、吉田選手に「自信を持つことが大事だ」とエールを送ったが、それはこれを見越しての事だったのかもしれませんね。

 

さて、どこを攻めても良いフリースタイルと違ってグレコローマンでは攻防に下半身を使ってはいけません。

たとえば相手の腰から下をつかむことや脚を使っての攻撃は禁止されています。なので吉田選手のような低空の高速タックルなどはなく、主に胴タックルや組手争いが中心になります。

打撃や首相撲と相性が良いと言われてますね。攻撃の連携の要所で思い切り上半身で崩せるグレコローマンの強さがアドバンテージになるようで、フリースタイルの技を防ぐ動作がないから汎用性がないとかそういうものでもないです。 グレコローマン経験者の総合選手では、打撃戦をかいくぐったり、胴タックルで肋骨をへし折るテクもあるそうで、なかなか興味があります。

 

またこういう意見もあります。
「決着つけるためのルール」と「鍛錬するためのルール」という見方があり、
グレコローマンというのはどちらかとえいば「鍛錬するためのルール」です。

ルールを広げると、広げたところでまた独自の生態系の進化が展開されてしまうのです。
たとえば、寝技をフルオープンにしたら、実戦ではまず使えないような引き込みばかり進化してしまうという。

ここでいう実戦というのは、
アスファルトや整地されていない、または傾斜や障害物のある地面。
不特定多数。武器あり(隠し、手持ち)。

それならば、大事な技にしぼって練習しといて、実戦はそれを応用する、という考え方ですね。
古流柔術や太極拳も近いと思います。

このように武器、人数、危険部位への攻撃などの要素を全部含んだ純粋な闘争を念頭に入れているか入れていないかで、そのコンセプトが変わってきます。

そして、最もシンプルかつ大きな要素をまとめると、
おそらく「姿勢よく立つ」。
要するに「倒れたら、終わり」の概念が強いということですね。

体勢が低いのはダメで、寝るのは死地であり、自分から下になるなんて論外・・・という具合に、おおよそ人類はそういう考えで格闘術を積み重ねてきましたが、そういった意識が外れてスポーツ化するとゴロゴロし始めるように思います。

日本の相撲もそうですが、各国・各民族の伝統レスリング・相撲は、だいたいグレコみたいな立ちレスリング方式が多いです。 鍛練のためにわざと動きを封じているわけじゃなく、こういう技術体系に合理性があるからなのではないかと。

 

とはいえ、これがすべてではありませんし、時代や状況によって変遷します。
だから古流が強い!というわけではありませんし、普通にやってフィジカルエリートのスポーツ選手に勝てるとも思えません。

 

フリースタイルにしてもグレコローマンにしてもレスリングは本当に強いと思います。
そして、総合格闘技や喧嘩に応用できて、誰でも一定の強さを得られるのがボクシングとレスリングの2大格闘技。
(柔道も含めてもいいと思います)
技術体系的にもすごく洗練されていますしね。

柔道経験者によるとレスリングは「休めない」と。
つかむところがないので動きが止まらないそうです。