大陸系と台湾系の太極拳

太極拳にはどんな種類があるのでしょうか?

 

さぁ、春から太極拳でもやってみるか・・・!

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いざ太極拳でもやってみようかと思っても、世の中にはたくさん「太極拳」があります。最近では「タイチ」なんてオシャレなところもありますね。24式、 〇×太極拳だけでなく、陳・孫・楊などの五大流派といわれる太極拳でも、〇×◇派陳式太極拳とかあり、とにもかくにも迷うばかりです。

分け方のひとつとしてですが、大陸系と台湾系という区分があります。大陸系というのは文字通り、中国本土であり「中華人民共和国」および大陸出身者由来の流儀のことを指します。台湾系と云うのは「台湾政府」および台湾出身者由来の流儀のことを指します。

王樹金

王樹金老師

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太極拳の祖は元・明時代に生きた張三豊という道士だと云われています。ただ、伝説的な要素も多いので確実に存在したかどうかは定かではありません。

1945年、第二次世界大戦後、日本の敗戦により共通の敵を失った当時の「中華民国」は、国共統一戦線の意義も名目もなくなり、再び国民党と共産党は戦後構想の違いより対立へと転じ、1946年より内戦を開始しました。
1949年、国民党政府(中華民国)を台湾に追い出して成立した「中華人民共和国」。政府主導のもとで立ち上げられた国家体育運動委員会によって諸流派を元に、新たに「制定拳 簡化24式(24式太極拳)」を制定しまし た。それは「体育」を主眼としたもので、「体育は民族的、科学的、大衆的でなければならない」というコンセプトのもと、楊式太極拳の李天驥老師を制定委員 会の長にして簡化套路を発表しました。時間を5分に納めたのは、職場の休憩時間にできるようにとの配慮ということです。「太極拳」は社会主義生産に寄与す る保健体育として機能するように改変されたといえるでしょう。
新中国における新しい武術活動が開始されたわけですが、これ以降、「伝統武術」はソ連のような科学的な体育観のもとに「武術」から「スポーツ」へと転換されることになりました。

その後、日中国交正常化(1972)に伴い、「制定拳 簡化24式」が日本にも伝えられるようになりました。有名な楊名時太極拳協会、日本武術太極拳連盟などはそれにともなって設立された団体です。

一方、第二次大戦後に台湾に逃げ延びた蒋介石と国民党政府。多くの伝統文化や文物とともに武術家たちも台湾に渡ってきました。台湾では「文化大革命」や政 府の影響もなく、武術は中国文化のひとつとして保存され、磨かれていきました。日中国交正常化に先駆けて、日本に公式に太極拳が伝えられたのは台湾系です (1959)。ただし気功・健康法ではなく「中国武術」としてもたらされました。その時に文化特使として来日したのが王樹金老師。当流儀の始祖でもありま す。もちろん、台湾にもさまざまな太極拳、中国武術があり、それらも日本に伝わったり、あるいは習得のために渡台される人も多いです。正宗太極拳や双辺太 極拳などは台湾系です。
また、当流儀の中央式太極拳は、戦前の「中華民国」時代に政府によって発足された「南京中央国術館」という中国武術の全国統一組織によって編纂されたものがベースになっています。それは太極拳緒派を研究した成果と形意拳、八卦掌の優点が融合されて作られたと考えられています。
********さて、どちらが良いか?ということになります。
前者の方が套路(型)はしっかりと制定されていることが多く、普及用套路や競技用套路があるといったように目的に応じて学びやすいと思います。また、規定 といって、脚や腕の角度などもしっかり決められていることもあり(特に競技)、わかりやすい目安があります。年々、さまざまな情報や新しい技術なども取り 入れられ、国際的にも広く知られているようです。最近、あちこちで話題になっている武術太極拳・山本千尋選手の流儀は大陸系です。2020年のオリンピッ ク候補競技にもなっております。後者の台湾系ですが、良く言うと「伝統」感があります。悪く言うと、人によっては古臭い印象を受けられるかと思います。套路においても普及用・競技用な どの区別もありません。武術性が強いと云えば強いですが、それですぐにでも強くなれるか?というと疑問符がつきます。しかしながら、武術の「コンセプト」 は色濃く残っており、身体操作(身体の上手な使い方)や内観などの感覚は自然に習得していくでしょう。型や用法、呼吸など、どうしても曖昧な部分・意味不明が目立ちますが、型の正確さよりも流儀の「理合」に適うことや「感覚」を重要視しているところが多い でしょう。それだけに追求・開発していく楽しみはあります。じっくりと細く長く続けていくのには向いています。また、マイナーなのでちょっとだけ人とは違 うことをしてみたいな、と思う人にも合ってます。

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李鴻儒老師 演武会にて

当流儀は先述しましたように台湾系です。王樹金老師の流れを受け継ぐ李鴻儒老師は太極拳のみならず、水墨画家であり、また台湾の風水易の教授でもありま す。そのコンセプトを汲んだ李老師の中央式太極拳は、派手さこそありませんが他にはない独自の風格を重ねていると思っております。

そして、「競技」ではないので勝ち負けとか、できるできないとか、そういうことにはこだわりません。目先の小さいことに囚われず、同じ会員同士、情報や技術のシェアをして、共に心身の健康と上達を目指す姿勢です。

(2015/01/23掲載分を加筆・再掲載)