八卦掌とモデルウォーキング

普段の姿勢などから読み解く指針として「男は背中、女はお尻」というのは私が昔、ボディワークを習っていた時にふと思った事ですが(笑)、それに大きくかかわっているのが「歩き方」ですね。

街中を観れば、まぁ、歩き方のきたない人の多いこと。

前からジロジロ見るわけにはまいりませんので後姿を眺めているわけですが、ペタペタ、ノシノシ、ドカドカ、ユサユサ、エッサホイサ・・・様々な擬音が浮かんでまいります。

ベビーカーの普及で子供が歩かなくなったのも遠因かと思います。けっこういい歳の子供でも(親が面倒くさいのか)ベビーカーにのってふんぞり返ってます。
そのくせ、乳幼児を「歩かせる」のは妙に急かすんですよね。親の見栄だと思いますけど。

たとえ20代でも30代でも歩き方がきたないとグッと老けて見えるのです。やはり、その人のファッションを引き立たせるのは、かっこいい姿勢と身のこなしですね。

 

 

八卦掌についての解説動画。

さて、先の八卦掌セミナーの記事で「モデルウォーキング」について書いたと思います。

 

モデルウォーキングのひとつの要件として、

〇頭を後ろに吊り上げるようにして背筋を伸ばし、頭、肩、腰が一本の直線で結ばれていること。

仮想上において吊り上げるのは「スカイフック」とも言われていますね。
耳、肩先、くるぶしが一直線上にあることなども重要です。

背骨は湾曲していますので直線にすることは不可能です。なので、ここで仮想臓器としての「軸」を
持ってくるわけです。頭頂から骨盤底までを貫き、背骨の前を通るのが「軸」です。

〇一直線上に足を置いて歩くこと。

足を「置く」こと。これ、重要です。
いい加減な勢い任せの足運びでは軸足がお留守になる上に膝歩きになってしまい、上体のバランスが崩れてしまいます。これでは一直前上などに置けません。
そして置いた脚にしっかり乗ること。大事ですね。

太極拳や八卦掌の場合は、ざっくりと書けば、それぞれの肩幅よりちょっと狭い延長線上ですが、両の足は平行に進み、交わることはありません。内に締める意識も忘れてはなりません。

〇地面を足が離れるときは親指の先がぎりぎりまで地面にふれ、足を地面につけるときはつま先を大きく立てること。

「平地平落」ともいいますが、八卦掌ではさらに要求が上になり、必ず地面と足裏が平行で、理想は紙が一枚は冷める程度といいます。

〇膝歩きをしない

足を置く→膝を伸ばす(いわゆる地面を蹴る)→上体を持ち上げてで移動させる

これを繰り返していては膝を痛めるだけです。これをやってしまっている人がどれほど多いことか。
ただ、生まれて以来の歩き方なのでそう簡単に改善はできません。
膝は「曲がる」だけの機能に留める必要があります。逆にモデルウォーキングでは接地している側の膝をできるだけ曲げないようにします。
%e5%a4%aa%e6%a5%b5%e6%8b%b3column_medium_dw66cllzcwmbybjend46qxqk5gv4ez7t

モデルウォーキングや、八卦掌、太極拳では鳩尾(みぞおち)から脚が始まっていると想定し、深く大きく長く脚を使うということですね。「腹から歩く」ということにもつながります。腰を支点とする重心を前へ前へ送り出すイメージで上体を前に移動させることですね。

 

 

このように類似点は多いですが、最大の相違点は重心の上下ですね。

モデルウォーキングは羽根が生えたように「上」を意識します。対して八卦掌は根を張ったように「下」を意識します。これはそれぞれのコンセプトが異なるのでどうしようもありません。

前者は舞台上という限定された場所において「見せるため」。後者は日常における「突発的な異変」に対する備えと「気沈丹田」のため。これも「陽」に対する「陰」として割り切って考えていただければ、そう戸惑うこともありません。そしてどちらにしても「無駄のない動作」から生まれる「美」は生じます。

そして八卦掌では「80歳でも現役の能楽師」の歩法を目指します。

%e5%a4%aa%e6%a5%b5%e6%8b%b3image69